この文書は、SlyFlourish.comを運営されているマイケル・E・シェイ(Michael E. Shea)さんが公開された『The Lazy GM’s Resource Document』をmayosuke/ひで/MightyGON/mashの4名で分担して和訳したものです。オリジナルの文書と同様、この日本語版にもクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 4.0 国際)を適用します。
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マイケル・E・シェイ(Michael E. Shea), SlyFlourish.com.
2023年5月8日更新
この文書には、5eやその他のファンタジー・ロールプレイング・ゲームを準備・運営するためのリソースや ガイドラインについて、マイケル・E・シェイが執筆し、SlyFlourish.comで入手できる複数の書籍から抜粋しています。この資料の多くはあらゆるファンタジーRPGに役立つものですが、一部は世界で最も人気のあるロールプレイングゲームの第5版に特化したものです。
この作品は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 4.0 国際)の下でライセンスされています。この文書から派生した作品については、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 4.0 国際)に従い SlyFlourish.com のマイケル・E・シェイが原著者であることを明記してください。
この作品は、Wizards of the Coast LLCによるSystem Reference Document 5.1 (“SRD 5.1”)https://dnd.wizards.com/resources/systems-reference-document から引用されたドキュメントを含んでいます。SRD5.1はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 4.0 国際) https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode でライセンスされています。
本書の発行・公開は、Sly Flourishの後援者の方々によって実現されています。皆様のご支援に感謝いたします!
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典型的なゲーム・セッションの場合、ラジーにRPGを準備するためのチェックリストは次のようになります。
それぞれのステップを簡単に説明します。
他のことをする前に、数分かけてプレイヤーキャラクターを見直すとよいでしょう。彼らの名前は?彼らの望みは何ですか?彼らの背景には何があるのでしょうか?そのキャラクターを演じるプレイヤーは、テーブルで何を楽しんでいますか?
このステップでは何も書かないかもしれませんが、キャラクターを見直すことで、頭の中にキャラクターを定着させ、キャラクターを中心に置いて他の準備を行うことができます。
どのようにゲームを始めるかは、おそらく私たちができる準備の中で最も重要な部分です。セッションの舞台を設定することで、その後のゲームの進行が大きく左右されます。ゲームセッションの開始場所を決めると、何が起こっているのか、セッションの最初の焦点は何か、そしてどうすればアクションに近づけるのかがわかります。迷ったら、戦いから始めましょう。強力なスタートの例は後述します。
強力なスタートを手に入れたら、次にゲーム中に起こることが想定されるシーンの短いリストを作りましょう。このステップは、ゲームを始める前にゲームを把握したかのような気分にさせるために存在します。しかしGMである私たちは、ゲームが違う方向に進んだら、せっかく考えたシーンを捨てる覚悟を常に持っていなければなりません。それはよくあることです。通常は1シーンあたり2、3行程度で十分であり、1時間のプレイで1~2シーンを想定しておくとよいでしょう。また必要ないと思えば、このステップを完全に省略することもできます。
次のステップは、強力なスタートに次いで重要であり、GMが利用できる最も強力なツールの1つです。秘密と手がかりとは、ゲーム中にキャラクターが発見できる手がかり、ストーリーの一部、世界の一部などを説明する1つの短い文章です。キャラクターがどのようにこれらの手がかりを発見するかは、正確にはわかりません。そのため、秘密や手がかりが見つかる場所を厳密に決めず、ゲーム中のどこにでも落とし込めるようにします。そうすることで、ゲームの流れが自由になり、かつ、キャラクターが発見しそうなタイミングでストーリーの重要な部分を明らかにすることができます。このステップでは、このような秘密や手がかりを10個ほど書き出すとよいでしょう。秘密と手がかりの例は後述します。
魅力的なロケーションを作るのは、簡単なことではありません。そのため、ゲーム中にキャラクターが発見し、探索する可能性のある幻想的な場所をいくつか書き出すことに時間を費やす価値があります。それぞれの場所はあなたのアドベンチャーの1シーンのセット、部屋、または背景と考えることができます。
それぞれの場所を、“サンスパイア”などの短いタイトルで表現してください。そして、その場所について、次のような3つのファンタスティックな側面を書き出してください: 「天空に輝く光線」「溶岩の堀」「古代の石に刻まれた巨大なエルフ文字」。究極的には、幻想的なロケーション一つ一つがダンジョン内の大きなエリアや部屋を表すことで、ロケーションをいくつも繋げてダンジョン全体を作ることができます。特定の場所は準備したゲーム中には登場しないかもしれませんが、後日キャラクターが探索する場所として利用することができます。
準備の段階では、アドベンチャーにおける最も重要なNPC(ノンプレイヤー・キャラクター)について大枠を決めておきます。まず名前とアドベンチャーとどう関わっていくかを決めたら、そのNPCを有名なフィクションの登場人物のアーキタイプ(※)に当てはめていきます。その他のNPCの多く(おそらくほとんど)は、セッション中に即興的に作成することができます。
※訳注:例えば、『スター・ウォーズ』のダース・ヴェイダーみたいなキャラ、『ハリー・ポッター』のアルバス・ダンブルドアみたいなキャラ、など。
キャラクターが最も直面しそうなモンスターは何か?特定の場所や状況で意味のあるモンスターとは?ここでは、敵のNPCから本当に怪物的なものまでを「モンスター」と称しています。どのような敵であっても、モンスターに関する資料を読むことで状況に応じて適切なクリーチャーを選択するためのインスピレーションを得ることができます。
また、モンスターの脅威度とキャラクターのレベルの緩やかな関係を理解することで、戦闘がどのように進むかを理解することができます。ほとんどの場合、アドベンチャーの中で起こっていることに基づいてモンスターをリストアップし、即興で遭遇を演出することができます。ボス戦の場合は、もっと手間をかける必要があるかもしれません。詳しくは ラジーな戦闘遭遇の作成(5版向け) を参照して下さい。
プレイヤーはマジックアイテムが大好きなので、彼らが興味を持つようなアイテムを用意することに時間をかけるのは有意義です。またこのステップでは、キャラクターに対して、物語の面白い部分を(文字通り)直接キャラクターの手に落とし込むことができます。マジックアイテムの報酬は、ランダムに選ぶ方法から、キャラクターのテーマやプレイヤーの希望に応じて特定のアイテムを選ぶ方法まで、さまざまな手法を用いることができます。マジックアイテムは、秘密や手がかりを届けるための素晴らしいメカニズムでもあります。
これらの手順とプロセスは、オンラインでプレイする場合でも、テーブルを囲んでプレイする場合でも同じように機能します。どのようなプレイスタイルでも、「ラジーなRPGの準備」チェックリストは有効です。
ゲームの前の準備にかけられる時間がない場合は、あなたが最も重要だと思う要素にリストを絞り込んでください。ここでは3つのステップの例を挙げます。
※訳注:ここで言う『フロント』は『ダンジョン・ワールド』で採用されている概念。詳細は『ダンジョン・ワールド:日本語版』第8章:フロントを参照
※訳注:例えば、3体で現れたゴブリンに対して「ゴブリンA」「ゴブリンB」「ゴブリンC」のような機械的なラベル付けを行うのではなく、それぞれのゴブリンに対して名前をつけたり、見た目の特徴の描写(真ん中のゴブリンは左右のゴブリンより一回り大きな体つきをしている、左のゴブリンは頬に大きな切り傷の痕がある、右のゴブリンはめっちゃくさい、など)をプレイヤーに行ってもらうことで、プレイヤーにも主体的に物語の構築に参加してもらうようなイメージ。より詳細な説明は『Return of the Lazy Dungeon Master』の Chapter 20: Three Tricks for Group Storytelling に記載されている。
強力なスタートによって、アクションの真っ只中からゲームがスタートします。 それはプレイヤーが現実世界から離れ、テーブルで展開される物語に入り込む手助けをします。1セッションのアドベンチャーであっても、長期にわたるキャンペーンであっても、冒険の舞台がどこであるかに応じて、以下の強力なスタートを自分のゲームに使うことができます。
集落では、戦闘と社交的なやりとりのどちらでも強力なスタートを切ることができます。
下水道で始まるセッションでは、数多くのモンスターや危険なものを利用することができます。
荒野では、アクションとミステリーのいずれかを強力なスタートとすることができます。