by Mike on 5 August 2023

ハスブロ社はD&Dをデジタルの未来に向かって突き進んでいるかもしれないが、私たちはすでにこのゲームを一生楽しむために必要なものをすべて手にしている。

ハズブロはデジタルD&Dの未来にものすごく興奮している。彼らは、ペニー・アーケードが完璧に表現しているように、毎週友人とシェアできるハンバーガー1個を30年間売り続けることに飽き飽きしているのだ。ハズブロは、毎月すべてのプレイヤーからサブスクリプション収入を得ようとしている。彼らは私たちに製品を売りたいのではない。家賃を払ってほしいのだ。

ハスブロ社の社長で、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社の元社長であるクリス・コックス氏は、デジタルの未来を強く推進している。彼はすでにAIを使った実験を行っており、「D&Dには利用可能な50年分のコンテンツがある」、という。WOTCの新しいトップはアマゾンやマイクロソフトの元幹部に代わって ブリザード社の元幹部だ。彼らは、デジタルゲームの推進に明確に焦点を当てた新しいD&Dプロダクト・アーキテクトの求人情報を掲載し、求人募集では「プロフェッショナル・エンシティファイア」(訳注:利益を優先して製品の品質を落とすこと)に限りなく近い「マネタイズ・デザイナー」を新たに採用した。

そう、WOTCは月額課金とマイクロトランザクションに大興奮しているのだ。

だが、いいニュースがある。そんなことはどうでもいいのだ。

大きな心配は、WOTCが物理的な書籍の製造を中止することだ。2年後にはそうなるという識者もいる。私は彼らが本を作るのを止めるとは真剣に思わないが、それが本当だと仮定しよう。私はそれでも問題ないと言う。

その理由は以下の5つだ:

  1. 3つのD&Dコア・ブックは本当に重要な唯一のD&D本であり、それらはすでに物理的な本である。
  2. WOTCはほぼ間違いなく、新ルールに対応した物理的なD&Dスターター・セットをリリースする予定であり、ターゲットやウォルマートの棚に並べることができる。
  3. WOTCはD&D 2024ルールの新しい5.2システム・リファレンス・ドキュメントをクリエイティブ・コモンズで公開することを約束した。
  4. 我々は50年前のバージョンのD&Dをプレイすることができるし、他のパブリッシャーの複数のフィフスエディションのゲームや、何百もの他のRPGを楽しむことができる。
  5. D&D Beyond以外にも、いくつかのデジタル・プラットフォームでD&Dをプレイすることができる。

リストだけでは納得できないかもしれないので、これらの理由を1つずつ見ていこう。

D&Dコア・ブックは物理的な「本」であり、それがすべてである。

我々はD&D 2024のコア・ブックが実際に本として出版されることを知っている。人々はすでに『D&D 2024プレイヤーズ・ハンドブック』を手にしているし、『ダンジョン・マスターズ・ガイド』と『モンスター・マニュアル』は今後半年以内に発売される。一度購入すれば、永遠に我々のものだ。これらの本は、使い続けるために毎月の購読料が必要になるような、足枷のような商品ではない。紙切れ1枚に30分でキャラクターを作成し、数年間プレイすることができる。

コア・ブックは、WOTCが出版した他のD&D本を圧倒的に上回っている。コア・ブックさえあれば、他はあまり必要ないのだ。『ザナサーの百科全書』や『ターシャの万物釜』のような、キャラクター・オプションのやたらと多い本は人気があり、ゲームを根本的に変えてしまうが、必要ない。他の出版社 歯ごたえのあるキャラクター・ブックを出版している。WOTCはフィフスエディションのキャラクター・オプションを独占しているわけではない。

WOTCはフォーゴトン・レルムズ、グレイホーク、プレーンスケープ、スペルジャマー、ドラゴンランスのような世界の知的財産権を所有しているが、これらの設定のための1つ以上の大きなアドベンチャーを出版することに興味がないようだ。そして、WOTCが多くのキャンペーン設定を出版しないことは、実際のところホビーを楽しむのに支障は生じない。私が調査したDMのおよそ半数は、とにかく自分のキャンペーン世界を好んでいるし、他の出版社からもファンタスティックな世界が出版されている。

物理的なコア・ブックが出れば、WOTCが残りのD&Dをデジタル化しようが関係ない。我々は本を持っている。彼らがそれを取り上げることはできない。

WOTCは新しいスターターセットを作るだろう

一つの心配は、WOTCが新規プレイヤーをそのままD&Dビヨンドに誘導し、月額課金という魅力的なサービスを提供することだ。そうかもしれない。しかし、彼らはまだ物理的なD&Dスターターセットをリリースするつもりで、ターゲットや ウォルマート、その他の大型店舗の棚に箱を並べることができるだろう。これらのスターター・セットは、新規プレイヤーをゲームに引き込むために不可欠なものだろう。もちろん、D&Dビヨンドへの新規参入を特別オファーやクーポンで後押しすることはあるだろう。旧来のD&Dビヨンドもそうだったし、それは新しいことではない。

WOTCはD&D 2024に基づく新しい5.2 SRDを約束した。

2024年5月、WOTCはD&D 2024のコア・ルールを2025年2月末に新しい5.2 SRDとしてリリースすることを約束した。このシステム・リファレンス・ドキュメントは、更新されたD&D 2024のルールを他のパブリッシャーに公開するもので、WOTCがデジタルでの収益に注力する中で残されたギャップを埋めることができる。つまり、代替のキャラクター・ビルダーや、統合されたルールセットのVTT、新しいキャラクター・オプション・ブックなどを作ることができるようになる。唯一の制限は、人々が何を作ろうとするか、そしてそれを支持する顧客を得られるかどうかということだ。その時点でWOTCの独占はない。WOTCは邪魔ではない。

私たちはすでにD&Dの旧バージョンと大量の素晴らしいRPGを持っている。

私の本棚とハードディスクには、6つの古いバージョンのD&Dがあり、そのどれもが今でも何らかの形でプレイされている。例えば、友人のクリスは『ダーク・サン』で第2版のD&Dゲームをプレイしている。

2014年版D&Dプレイヤーズ・ハンドブックは何百万部も出回っているし、5つ前のバージョンのD&Dもすべて購入することができる。これらすべてのバージョンのD&Dは、今日私たちが楽しんでいるのと同じような楽しみをテーブルにもたらし、そのすべてが今でも十分にプレイ可能である。WOTCが30年前のハンバーガーを売るのをやめようが関係ない。すでに山ほどあるのだから。

D&D以外では、『Tales of the Valiant』や『Level Up Advanced 5e』があり、これらは2014年のD&Dに素晴らしいアップデートを提供している。『Shadowdark』はフィフスエディションを70年代や80年代のD&Dのオールドスクールな雰囲気にまで落とし込んでいる。『Dragonbane』、『Shadow of the Weird Wizard』、『13th Age』、『Knave』など、フィフスエディションベースではない優れたRPGも他にたくさんある。

他にも試すべきシステムはたくさんある。WOTCは大海の真ん中に堀を築こうとしているのだ。

複数のデジタル・プラットフォームでD&Dをプレイできる

ハズブロはD&DビヨンドでD&Dにお金を払ってもらうことにものすごく興奮しているが、このゲームのプラットフォームはそれだけではない。2024 D&Dはファウンドリー(Foundry)、ファンタジー・グラウンド(Fantasy Grounds)、ロール20(Roll20)でもプレイできる。その他のフィフスエディションも、これらのVTTや シェアード・テーブルトップですでに提供されている。ENワールド・パブリッシングは、レベルアップ・アドバンス5eのための無料のキャラクター・ビルダーを構築している。また、物理的な本や本物のダイス、アウルベア・ロデオのようなルールに依存しないVTTで遊ぶこともできる。多くのルールセットがクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で利用可能であるため、WOTCは他の人々がプレイする際に使いたいツールを構築することを邪魔していない。

重要なのはあなたとあなたのグループだけだ

他の業界がどうであろうと、ゲームそのものは、あなたと数人の友人とがテーブル(バーチャルであろうと物理的であろうと)に座ってプレイするだけのものだ。プレイヤーを説得して別のRPGをプレイさせることができれば、そのRPGが他の誰かにどれだけ人気があろうと関係ない--それはあなたのために働いているのだ。世界のどこかで6人が特定のRPGをプレイしているなら、そのRPGはまだ生きているのだ。

RPGのために信頼できる良いプレイヤーを見つけるのは難しい--この趣味の最も難しい部分だろう。WOTCがそれを簡単にしたり難しくしたりしているとは思わない。信頼できるプレイヤーを見つけるのは難しいし、また、そうしたプレイヤーたちに、最も人気のあるRPGから離れて聞いたこともないRPGをプレイするよう説得するのも難しいかもしれない。

しかし、もしあなたのグループがあなたを信頼し、あなたが共有する物語を楽しんでくれるなら、たまには他のシステムも試してみようと彼らに話すことができる。少し手間がかかるかもしれないが、WOTCは邪魔をしない。他のシステムを試すことに前向きな素晴らしいプレイヤーを定期的にあなたのテーブルに集めることは簡単ではないが、我々はそこに到達することができる。これは我々が解決に取り組むべき主要な問題だ。

もちろん、いつでもD&Dをプレイすることはできる。物理的な本と弾力性のあるソフトウェアを使って、好きなようにD&Dをプレイすることができるし、誰もそれを止めることはできない。

WOTCを直すことはできない。D&Dを収益化しようとするWOTCの方向性を変えることはできない。ペニー・アーケードが言うように、私たちはサーベルを振り回しているのではなく、サンドイッチをまとめるための小さなプラスチックの剣を振り回しているのだ。

われわれができるのは、この趣味に対するわれわれ自身の支配力を強めることだけだ。他のどのエンターテインメントよりも、RPGという趣味は、WOTCがデジタルの未来に移行する際に行おうとしているような堀の構築に対して、驚くほど強い。

RPGホビーの未来は我々のものだ。

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